臓器移植医療について

渡航移植医療とは

小児の心臓移植

小児の心臓移植の現状

2015年8月に小児用の体外設置型補助人工心臓(体外式VAD)が保険適用になりました。これはあくまでも心臓移植を受けるまでの『つなぎ』として使用され、最終的には心臓移植が必要です(※一部、心筋機能が回復しVADを離脱できる子どももいます)。

現実、日本では多くの子どもたちが心臓移植を受けられずに亡くなっています。近年では海外渡航移植では費用が4〜5億円以上かかり、多くの場合は募金活動によって実現されます。本来ならば、海外渡航移植は避けれるなら避けた方が良い選択肢です。海外渡航移植を決断されるご家族は、とても複雑な心情で海外渡航移植を決断されます。

米国にいる人の誰かが受け取るはずだった臓器を、横入りで日本人が臓器移植を受けるという御指摘や御批判をしばしば見かけます。しかしこれは、全くの誤解です。

受け入れてくれる米国現地の医療者は、大前提として、自分たちの診ている患者に影響がないと判断をした上で海外からの渡航移植患者の受け入れを許可します。米国に渡ると、日本のご家族は移植待機列の最後尾に並び、ひたすら運命の出会いを待ちます。

その基準は厳格に定められていますが、日本から渡る子どもの重症度は高く、必然的に移植候補の上位に位置付けられるため、比較的早く移植に到達することが多いのです。またデポジット(保証金)は日本人も米国人も同様の金額です。日本人だから特別に高額ということはありません。

イスタンブール宣言において、世界的には原則的に移植ツーリズムを禁止しています。その一方で、自国民の移植の機会を奪われない範囲で外国人の受け入れが許容されているのも事実です。

しかし、移植先進国である米国であっても年間約350人/年の小児心臓移植が行われていますが、待機中に60~100人の米国の子どもたちが亡くなっている事実は心に留めておかなければなりません。

命をつなぐために

日本ではどうして臓器移植医療が進まず、多くの患者さんたちが亡くなってしまうのでしょうか。どうして多くの子供たちが、今の医学でなら救えるはずなのに、救われることなく亡くなってしまうのでしょうか?

日本の不幸な事情の始まりは、1968年の日本初の心臓移植にさかのぼります。この移植は脳死判定への疑義(執刀医自ら判定基準もなく実施)、レシピエントの適応性への疑義(本当に移植が必要だったか)があり脳死臓器移植への反対気運が高まりその後30年間にわたり空白の期間がありました。

また脳死に対しての正しい理解が進まず今の事態を招いています。臓器移植に関心を持っていただいて理解を深めていただきたいと思います。

また日本では、救急医療現場における医師不足や移植コーディネーターの不足という問題があります。医師が法に規定する脳死判定を行ったとしたならば脳死とされうる状態にあると判断したとき、諸外国では医師が臓器移植を選択肢として提示して移植コーディネーターが家族のサポートを行っていますが、日本ではほとんど臓器移植のことが提示されることがありません。現場の医療者への負担感があまりにも大きいのが実情です。

この現状を変えていくには、まず臓器移植に関心を持ち、家族で話し合い、そして意思表示カードや運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードの意思表示欄に自分の意思をはっきり書くことが必要です。また公益社団法人日本臓器移植ネットワークの臓器提供意思登録サイトから登録ができます。多くの方の移植への意思が表明されることが、社会の仕組み整備をしていく力になるのです。

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